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未来の年表、実際に購入してみました。

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)という本が非常に話題になっているみたいです。

Amazondも楽天でも品薄状態で、入荷待ちの状態だとか。僕は電子書籍・紙媒体のこだわりがなかったので早速楽天koboで購入して読んでみました!

 

未来の年表の内容

未来の年表の実際に内容について最初の方から見ていきます。

「はじめに」からなかなか辛辣な意見

未来の年表には「人口減少日本でこれから起きること」というタイトルがつけられている。

はじめにでは「人口減少」に対しての認識の甘さを鋭く批判するところから文章が始まっています。日本の少子高齢化という状態について知らないという人はほとんどいないでしょう。しかしその自体の「深刻さ」を正確に理解している人がどれくらいいるだろうか?と著者は問いかける。

 

またこれは一般の人に向けてというよりはそういったことを理解していない政治家、あるいは自分の自治体の目先の人口増加に喜ぶ地方職員に向けてといった指摘である。著者は少子化を止めることはできないこと、数年後はどの自治体も現在の人口を増加させるどころか維持さえできないということも断言している。

 

著者の立場「少子高齢化を止めることはできない。」

 

少子高齢化によってむしろ個人の所得を増やすことも可能だとする論に対しては、一部肯定したうえで「だからといって少子高齢化(とそれに起因する問題)が消えるわけではない」、

働き手が減ってしまえばその分人工知能や移民で補えとする論などに対しても、長期的には不可能(人口の減少幅が大きすぎる)とする。

 

著者がこの本の中心テーマとしているのは「人口減少の深刻さ、そしてそれがもたらす災厄に対して適切な理解をし、それと真正面から向き合うこと。

 

少子高齢化をストップさせる」、あるいは「たとえストップできなくとも策はある」といったような楽観に警鐘を鳴らしている。

 

日本の人口が2000人に?

 

国立社会保障・人口問題研究所のデータを元にした未来予想。しかしこの数字は「西暦3000年の日本では」というくくりつきだ。つまり今から約千年後。著者も「机上の計算」では、と強調している。

 

近い予測では300年後に、現在の福岡県民ほどの人口に日本全体の人口がなってしまうということ。

 

はじめにの終わりには国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集」からの人口推移グラフがつけられており、これを見ると人口の減りが急激になっているのが視覚的に把握できるようになっている。

 

「はじめに」(前半)を受けての感想

はじめにでは「著者がどういった立場なのか」「人口減少に対しどういった意見を持っているのか」ということが明らかにされていました。

現在この本が話題になっているのはおそらくその「人口減少」の振れ幅の大きさ。具体的には「日本の人口が2000人に!」「え!」という感じではないでしょうか。

 

確かにみんな少子高齢化ということが分かっていつつも、それがどのくらいのスピードで進行しているのか(早いということは知っている)についての深刻さはあまりないように思われます。そこが多くの人の驚き・関心につながっていると考えられます。

 

しかし、しかしですよ。1000年後の日本、と言われて果たして「確かにこの統計ならそうなる。。。」と思えるでしょうか。正直、そうすんなりとは頷けませんでした。

しかしもちろん「はじめに」だけでは何とも言えません。これから本書を読み進めるにあたって、この「(人口減少が深刻なことは分かるが)偏った見方では?」という疑問がどこまで払拭されるか、期待が高まります。

 

↑電子書籍版だとここで「はじめに」が途切れているように感じられましたが、実際はこの続きもはじめにに含まれるようです。以下、「はじめに」の後半を見ていきます。

 

はじめにの後半の内容

 

はじめにの後半では、人口減少によって荒廃していく日本の様子が描かれている。そこには2025年問題に関する言及も。

大きな二つの軸はやはり「働き手の減少」「高齢化による介護・医療問題」といえそうだ。そこから発展して「国家の存続危機」。国自体が人口減少という目に見えない、しかし着実に進んでいく変化によって「滅びてしまう」(国力を失い、他国の事実上の乗っ取りをうける)というところまで著者は見ている。

 

そしてその猶予はかなり短いということ。著者は上記のような最悪の展開を避けるために「国家の変革が必要」だと述べており、その猶予を25年後、2042年を期限として設定しています。またその年に起こる問題を「2042年問題」と呼び危惧している。

 

はじめにの後半を受けて

 

著者の人口減少に対する切迫が伝わってきます。しかしもし本当に25年しか猶予がないとすれば正直に言って「国家の変革は難しい」(というよりもほぼ不可能)という気がします。それまでに何かもっと国家の根底を揺るがすような問題が起これば別ですが。。。

震災のように何か大きな災厄が突発的に起こる、ある日を境にして「日本」が変わってしまうというタイプとは違う「着実な変化、状況が一歩一歩悪くなる」という人口減少が持つ危険性。筆者が警鐘を鳴らす理由がやや分かる気がしました。

第一部 人口減少カレンダー

第一部では「人口減少カレンダー」と称して2017年から2027年までが一年ごと、飛んで2033年、35年、39年、40年、42年、45年、50年、そして2065年以降というくくりでその年に何が起こるかという未来予想を大胆に行っている。

人口減少に対して具体的数値(300年後には450万人)という引き、そしてこの大胆な未来予想。多くの人の関心を引く理由がよくわかる。

 

未来予想の項目は多岐に渡る。「どのような社会問題が起こるか?」というところに焦点を当ててあることはもちろんだが、年によって「高齢化」「働き手不足」によって、ある分野の人材が不足すること、こんな施設が不足する・消えていくなど、具体的に書かれている。

未来の年表の「本」媒体が品薄の理由

 

未来の年表という言うだけあり、これは持っておきたいなと思わせる内容でした。実際にどれだけ当たるのか、その年になって確かめてみたいからです。電子書籍で読めるにも拘わらず紙媒体の本に人気が集中しているという点は単純に「読みやすいから」「慣れているから」という理由もありますが実物として手に持っておきたいという意識も働いているのかもしれないと思いました。

 

最終的な2050年、2065年などはまるでアメリカの近未来映画のような、諸外国を巻き込んだ動きが書かれており、これ自体にはあまり信憑性を感じられませんでしたが(それくらい字面のインパクトがありました)、それまでの着実な社会の悪化は今の少子高齢化の延長ということが感じられなかなかに説得力があるように思いました。

 

第二部 人口減少に対して何ができるか?

第二部は一部やはじめにで語られた人口減少に対し何ができるか?という内容になっています。タイトルには「日本を救う10の処方箋」とあるので、その手段が10に分けて書いてあるようです。早速読んでみました。

 

人口減少による労働者不足

 筆者は人口減少の問題の三つの側面として「出生率の低下」「高齢者数の増加」「勤労世代の減少」をあげ、まず「勤労世代の減少」に対し何ができるか?という論を進めていく。

 

一般的に期待されている案としては「外国人労働者の受け入れ」「AIが働くこと」「女性が働くこと」「高齢者が働くこと」の4つがあげられるが著者はそのどれもが一定の効果を表すとしたうえで、人口減少の大きさに対しては「不十分」とする。(人口の減少幅が大きすぎるため全面的な解決には至らない。)

 

そして筆者があげる案が、「戦略的に国家を縮める」ということ。国の規模を大きく、発展させていくというこれまでの発想を捨て、「小さくても充実している・繁栄している国家を目指す」というものだ。

 

筆者はそのキーワードとして「戦略的に縮む」「豊かさを維持する」「脱・東京一極集中」「少子化対策」という4つのキーワードを上げ、実際の処方箋内容に入っていく。

 

第二部の序文を読んでの感想

人口減少を食い止めるのではなく「人口が減少しても大丈夫な国家をつくる」というのはありそうでない視点だなと感じました。(僕が知らないだけかもしれませんが。)

 

減少するという人口の問題は経済的成長の問題とイメージが重なります。日本が高度経済成長を遂げ、どんどんと豊か・発展を目指してきた流れから、衰退へと向かっている。そしてその衰退を止めることはできない。

 

日本にはアメリカに右習えする動きが戦後から引き続いていると言われることがあります。(敗戦を引きづっている、敗戦国意識が残っているなど)

第二部の序文を見て、「戦略的に縮む」というのがなんとなく非常に日本にマッチした考え、あるいは現代の日本の個人ともマッチしている考えなのではないかと思いました。

日本はアメリカのように国土も広くなく、そのため資源も豊富であるとはいいがたい。(沖縄・北海道等例外的な事情もありますが)島国のために基本的には単一民族。そういった事情から考えると「戦略的に縮む」というのは、戦争によって領土を拡大し資源・人材を手に入れていくという時代でなければ、むしろ当たり前の考え方のように思えます。

また「悟り世代」と表現されるなど今の若者世代は「(個人レベルにおいても)発展する」「仕事で結果を残す」という向上意識や、物質的豊かさに幸福を求めるといった視点があまりありません。「断捨離」などといった「持たない」ことを好む風潮もあります。そういった面からもこの「縮む」、よりコンパクトに現状を維持するという考え方が、まるでその次世代から希求されたように思えました。

 

人口減少に対する10の処方箋の「1」

一つ目のトピックスとして非常に強烈なワードが載せられていました。曰く「高齢者の削減」。これはいったいどういうことなのでしょうか?

 

高齢者を減らす!?

「高齢者を減らす」ということに関し、筆者は主に二つの手段を上げる。一つは「高齢者にかかる費用を減らすこと。」例えば、年金給付額を減らすために、低価格の高齢者向け住宅を国が用意するなど。

そしてもう一つは実質的に「高齢者を減らす」ものだ。もちろん死に追いやるわけではない。高齢者の定義を変え、「75歳以上が高齢者」とするとするものだ。そうすると年金として支えなければならない勤労人口は増え、支えられる側は少なくなる。実質的に勤労側の一人当たりの負担も非常に低くなるのだ。

現在の医療の発達・健康への適切な知識などは、平均寿命の延長をもたらしただけではない。「年齢よりも若い高齢者を増やした」というのもその功績の一つだ。ひと昔前に比べてはつらつとした健康を保つ高齢者が増えた。そのため勤労年齢を引き上げるのもより現実的になったのだ。

処方箋1の感想

「高齢者の増加」という問題に対し直接的に高齢者を減らしてしまう(高齢者の定義を変える)というのは非常に面白い考え方だとおもいました。しかしそれこそ高齢者(現在の定義の)が増えてくることに対し、「もっと働け」というのは現実的に可能なのでしょうか??反対する高齢者も多くいる気がします。

男性は特に定年後にすっかり老け込んでしまう、といわれることも多くそういった仕事が「生きる目的」となりうる人にとっては有効かもしれません。

しかし今の若い世代が「高齢者」になった暁にはそれはあまり通用しないかもしれません。先に書いた通り彼らは高度成長期の世代の若者に比べて「仕事」に人生の価値をおいていないからです。

就職すれば「転職」を考え、また「ブランドのある企業・職種」ではなく「身のたけにあった企業」「過酷すぎない職種」を選ぶ若者。勤労期間の延長はそういった世代には受け入れがたいものかもしれません。

処方箋2以降を読んでの感想

処方箋2以降については具体的な指摘をさせて書いていこうと思います。というのもあまりにも内容を書いてしまうのは著者や出版社的に良くないのかな。。。と思ったからです。(今更ですが。。。)

 

ちょっと内容の本質を書きすぎたかなと反省。もしかしたら今後記事ごと削除するかもしれませんがとりあえず今は公開しておきます。

 

では処方箋2以降を見てみての感想を。

 

処方箋2以降も1のような人口減少に対しそれを食い止めるのとは全く別の発想で、日本という国力を維持するような方法が書かれています。それはまるで末端の壊死した部分を、体機能を維持するために切断するような方法でした。あるいは植物を育てるときに、枝葉を切り落とし栄養を一点集中させるような。非常に面白い方法だと思います。

 

ただ、先述した通りこれが実際に国単位で実行できるのかというと大きな疑問が残ります。まず間違いなく「反対派」が出る。その上に大きな方向転換を迫られます。それだけ大きな力が必要であるという印象です。もしかすると後世では、この方法をとらないことなどありえないというようなものになっているかもしれませんが、黒船による開国のように現時代を生きる人にとってはまるで非常識。しかし個人的にはこういった社会の大転換が起こるならばそれを体験してみたいという気もしました。

 

未来の年表に関する内容・感想は以上です。