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「チュベローズで待ってる AGE22」【感想・あらすじ】

日本が誇るアイドル事務所「ジャニーズ」の人気グループ「NEWS」の一人、加藤シゲアキさんが書かれた最新作。

 

 

 

「チュベローズで待ってる」

 

加藤シゲアキさんは「ピンクとグレー」「傘をもたない蟻たちは」などこれまでいくつかの作品を発表され、ドラマ化・映画化されています。

 

アイドル×小説家というのはなかなか見ない肩書ですよね。少し前にはお笑い芸人の又吉さんが芥川賞を取るなど、タレント性の強い人が本格的な実力を示す例がありましたが、これからも「○○×小説家」というパターンはぽつぽつ出てくる気がしますね。

 

出版不況の時代と言われ、小説だけで食っていける人は数えるほどしかいない、とも言われる時代ですが、もしここに「タレント性を持った人×本格的な小説」というものがどんどん入ってくるとなると、今まで以上に「小説家の世界の競争」は厳しいものになるのかもしれません。

 

「チュベローズで待ってる」AGE22とAGE32

さてこの「チュベローズで待ってる」は長編二巻構成になっています。

 

どちらも読まさせて頂きましたが、率直に言うと「かなり面白かった」です。

 

エンターテイメント性や強い意外性のある展開で読者ををひきつける作品性はまるで「東野圭吾さん」の作品を思わせるものがありました。正直、「ジャニーズの人気アイドル」という肩書がなくても、普通に世の中をにぎわす作品だと思います。

 

ではこの本のあらすじなどから、読んだ際の詳細な感想などにうつっていきます。

 

「チュベローズで待ってる」に関する情報

本作品は二冊で一つながりの作品になっています。主人公も同じ、周りの登場人物も同じです。(2冊目で初登場の人物も中には何人かいます。)

 

なので、AGE32(2冊目)だけを読むと話がまるで理解できませんし、1作目を読んだだけではかなりもやもやしたところで終わります。読むなら「2冊とも」が前提になっている本です。

 

内容量は結構分厚い感じですが(1冊目が200ページ、2冊目が300ページ程度。合計で500ページを超える分量です)、物語が盛り上がってき始めると正直かなり一気読みできてしまいます。そのくらいミステリー要素の引きの強い作品でした。

 

「チュベローズで待ってる」タイトルの意味

あらすじの前に、タイトルについて簡単に。

「チュベローズ」とは主人公がかかわるホストクラブの名前。

「待ってる」については読み終わった後、読者が解釈していくことになる意味合いのものと思われます。

 

一冊目の「AGE22」と二冊目の「AGE32」はそれぞれ主人公の年齢。AGE32はなんと2025年を舞台にした近未来作品になっています。一冊目の舞台は現代(主人公の年齢からすると2015年)です。

 

ではあらすじです。

 

「チュベローズで待ってる AGE22」のあらすじ

 

就職活動に失敗してしまった主人公・光太。父を早くに無くし、母と妹を養う必要があると感じていた光太は、就職浪人を余儀なくされることに焦りを感じていた。

 

そんな時、光太の前に「雫」という男が現れ、光太を強引に「ホスト」の道へと誘う。光太はその誘いを受けるも、家族や恋人の「恵」には「飲食のアルバイト」と偽り、光太のホスト生活が始まった。

 

売れっ子ホストである雫の羽振りの良さに惹かれ、自分もと期待する光太だがうまくホストの世界はそう甘くない。雫直々のスカウトをやっかむ同僚からのリンチ、取れない指名、きつい労働環境。心を許せるのは同じく雫からのスカウトを同じ時期にうけた、人懐っこい「亜夢」。

 

そして、向いていないホストの職に苦しむ光太の前に「いくつもの不可解な出来事」が起こり始める。

 

「チュベローズで待ってる」の魅力→先が気になる、、、!不可解な展開

 

ざっと、「チュベローズで待ってる」AGE22(1冊目)のあらすじを書きました。

 

では次に「チュベローズで待ってる」の魅力について。これはどちらの巻にもあてはまることではありますが、主にAGE22のストーリー展開を交えつつお話していきたいと思います。

 

「この小説が面白い!」と感じた時、皆さんはどのような部分にその「面白さ」を感じるでしょうか??

 

僕は子供の頃より本を読むのが好きで、人並みには小説を読んできたつもりです。

 

その中で「この小説。。。まじ面白いな。。。!」と感じた本の中には「一気読みしてしまう面白さ」というものがあります。

 

今回読んだ「チュベローズで待ってる」にもこの手の面白さが存分に発揮されていました。

 

あらすじにも書いた通り「ホスト」という背景で物語が進んでいくわけですが、そこで「いくつもの不可解な出来事」が主人公・光太に降りかかります。

 

少しストーリー展開に関する詳しい部分に入っていくので(完全な結末→ネタバレはしません。)、はじめからあまりストーリーを知りたくない!!という方はご用心下さい。。。!

 

ではこの小説の醍醐味「不可解な出来事」について。

 

大きなポイントとしては「主人公の前に現れる二人の女性」、そして「亜夢の逃亡」です。

 

二人の女性の存在

二人の女性の存在。あらすじにも書いた通り主人公には「恵」という彼女がいます。この子、かなりいい子です(笑)物語のヒロインという感じのけなげな子。

 

それに対し、ここで取り上げる「二人の女性」というのは、物語の「スパイス」のような存在。物語をより深くて、危険な、そしてより「ゾクゾクするような」面白い方へと読者を導きます。ストーリー展開を握るキーマン(女性なのでウーマンですが)とも言えますね。

 

「チュベローズで待ってる」一人目のキーマン

 

一人目の女性は「雫の彼女」。雫はホストクラブに来るお客さんだけでなく、オーナーからの信頼も厚い、同僚からも慕われているという「カリスマ的存在」。そしてその彼女「ミサキ」もただ者ではありません。

 

彼女もまた「水商売」をしている人間ですが、彼女は雫のホストクラブに来るなり光太を指名し、雫に気づかれないようある取引を持ちかけます。

 

その取引というのが「雫の動向、このホストクラブの売り上げを逐一私に教えろ」というもの。取引、というにはかなり強引に光太に迫ります。そしてその見返りとしてミサキが提示するのが、「光太の売り上げを三か月で、上位五位以内にする」というもの。

 

これはホストの接客に苦しむ光太にとっては「嘘だろ」というくらい信じられない条件でした。(お店には40人ほどのホスト、そして光太は指名もろくにとれない売り上げ最下層のホストだからです。)

 

これが一人目のキーマン、「ミサキ」のもたらすストーリー展開です。ここからどのようにミサキが光太を上位ホストへと上げていくのか、ミサキが「雫とホストクラブの経営状態を秘密裏に探っている理由」とは何なのか。

 

まだまだ序盤でも展開なのですが、この部分を読み進めているあたりで「盛り上がってきた。。。!」という感覚がありました(笑)

 

では次に二人目のキーマン。

 

「チュベローズで待ってる」二人目のキーマン

 二人目の女性キーマンは「美津子」。なんとこの女性、主人公の光太を就活で落とした張本人。光太が就活で唯一最終選考まで残った、ゲーム会社「DDL」の社員です。彼女はホストをしている光太をたまたま見つけ、接近します。そして自分が落としたことでこのような生活を余儀なくされている光太に罪悪感を感じ、謝罪します。しかし光太は落とされたという恨みが抑えきれず美津子に強く当たります。

 

そして美津子は光太に対して「DDLに来年再挑戦する気はないか?もしそうなったら自分が何としてでも会社に入れて見せる」ということを償いとして提案します。

 

ホストとして上にのし上がること。自分が最終選考まで残ったものの敢え無く落選してしまった会社に再度挑戦すること。ミサキと美津子の登場により、光太はどんどん深みにはまっていくことになるのです。

 

「チュベローズで待ってる」不可解な出来事2

ホストとして、また就活浪人生として不穏な縁に導かれながらも先へ進む光太。しかし一方で、また別の問題も。

 

光太と同期で同じホストクラブに入ってきた「亜夢」が、突然謎の失踪をとげます。しかも彼が消えたのと同じ日に「店の金庫から売上が盗まれる」という事態が。そして監視カメラには金庫から金を抜き取る亜夢の映像、その日の金庫の鍵も亜夢が持っていたという状況証拠も。

 

この事態に対してホストクラブオーナーの水谷は激怒。従業員を全員集め、なんとか亜夢を探し出すようにと強く言い渡します。

 

主人公のホストとしての状況、就活生としての状況も徐々に変化していく中、こういった「何がどうなってるんだ?」という、物語の先が気になる展開がいくつも用意されていました。

 

そして一巻目のAGE22のラストでは、これまた衝撃の結末が。こちらについてはぜひ、お読みになった際にご確認下さい。(僕はまず一巻を購入して読んでいたのですが、この結末部分を迎えた時、二巻目も同時に購入しなかったことをすごく後悔しました。。。早く二巻目が読みたい!!と思わずにはいられないラストです。)

 

チュベローズで待ってるAGE22 全体の感想

上記のように「物語展開がスリリング、先が気になる」ようになっている作品です。加藤シゲアキさんの作品はあまり読んだことがなく「アイドルとしての人気があるから売れてるのかな」と正直、あまり期待はしていませんでした。がその邪推は、3分の1ほど読んだところで全くの見当違いだったと認めざる負えませんでした。

 

とにかく話の展開が面白すぎる!

 

個人的には「文体」に関してはあまり好みじゃなかったかなぁと。読みやすいのは読みやすいのですが、なんとなく違和感を感じる、というか「わざと回りくどい表現をしているのかな?」と感じるような部分がいくつかあったらかです。(すごく個人的に感じたものなので、気にならない人は全然気にならないと思います。)

 

ただ物語展開が面白すぎて、途中からは全然気にならなくなりました(笑)とにかく話が面白い!!

 

話の展開の面白さで言うと、最近読んだ「屍人荘の殺人」を思い出させる感も。これもあよくできた話でした。。。

 

物語の雰囲気

あとは物語の雰囲気もすごく味があるというか、よかったなぁと。

 

なんというか「暗い」んですよね(笑)何かが起こる。。。よくない何かが起こる。。。!という雰囲気が全体を通して漂っているというか。案の定、一巻のラストにはかなりえげつないラストが用意されていましたし。

 

ただ二巻を通して読むとわりと「救い」の部分もあります。といってもやっぱえげつない展開が多いですけどね。。。最終的にはそれらが「せつない」の方に昇華されていくというか。二巻を読み終わった時の読後感は癖になるものがありました。

 

AGE22の方のあらすじ・感想はこんな感じですね。AGE32の感想・あらすじはまた後程。

 

一言でまとめるなら「チュベローズで待ってる AGE22」はかなり面白いです!