どんぐり宣言!!

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【書評】やめられなくなる、小さな習慣【異色】

実際に読んでみたので感想を。

 

↓今回書評したのはこちらの本です。

 


やめられなくなる、小さな習慣

 

習慣化に関する新しい視点

この本を読んでまず「おっ」と少し驚いたことがあります。

 

それは「これまでに読んできたこの類の本と目の付け所が違う」ということでした。このことを説明するために、まず本書の一部を抜き出してみます。

 

 が、習慣化は万能ではありません。習慣化すれば何もかもうまくいくわけではないのです。(中略)

 私が挑戦したかったのはそのことです。

 ただ何かを習慣化するだけでなく、習慣化によって全てを変えてしまうようにするにはどうしたらいいか?

 (本書「やめられなくなる、小さな習慣」より引用)

 

また「はじめに」の最後はこのような一文で締めくくられています。

 私の得た答えは習慣の連鎖反応というものでした。

(本書「やめられなくなる、小さな習慣」より引用)

 

習慣の連鎖反応。。。??

 

なんとも先が気になる、思わせぶりな幕開けです(笑)

 

それでは本書全体を包むこのテーマを掘り下げていきたいと思います。

 

「やめられなくなる、小さな習慣」の中心テーマとは

 

先ほど引用したとおり、この本が焦点をあてているのは「何かを習慣化すること」だけではありません。ここが僕が今まで読んできた「習慣化(脱三日坊主)」を目的とする本と大きく異なると感じた点です。

 

習慣化に関する本と言えば

 

これまで僕が読み込んできた「良い習慣をつくること」を目的とする本では、「何か自分にとってためになる行動が習慣として形成されれば、人生はもっと良いものになる」ということを前提として置いています。

 

そのうえで、「ではどのようにすれば良い習慣を形成することができるのか」と。ここが中心テーマになっており、それを達成するための具体的な策が提示されます。

 

対して本書「やめられなくなる、小さな習慣」では、「習慣化が必ずしもすべてを解決してくれるわけではない」というところから話を始めています。そして、良い行動習慣を身に着けたとしても、それが「人生を変えるレベル」まで達しなければ、あまり意味はないと著者は主張します。

 

このことを説明するために、筆者は「小さな習慣」に関する話に挙げています。

 

小さな習慣とは?

 

「小さな習慣」という言葉をご存知でしょうか。これは「何かを継続するうえで、最初は小さなところから始める」というアイデアです。

 

例えば「腹筋が割れるくらいのマッチョになる」という目標を掲げたとします。この目標を達成するために必要なものはなんでしょうか。

 

幾つか必要なものがあるかとは思いますが、まず必要なものが「持続的で適切な量の筋トレ」ですよね。ポイントは「持続的」というところ。いうまでもなく、一日や二日など短い日数で猛烈に筋トレをしたところで期待する効果は得られません。

 

一例として筋トレを挙げましたが、基本的にはどのような目標であれ、「行動を継続する」ということが結果につながりますよね。

 

しかしご存知の通り、「物事を継続する」ということは簡単なことではありません。たとえばその理由は単純に「面倒くさい」というもの。

 

だからこそ「どのようにすれば、自分の望む行動習慣を身につけることができるか?」が多くの本で言及され、多くの方に読まれているわけです。そして少し前から広く支持されている解決策の一つが「小さな習慣」。

 

筋トレの例でいえば、まずは「一日に腹筋を一回する」というところから始めます。確かに「腹筋一回」ではマッチョになることはできません。また、これを例えば1年間続けたところで、期間のわりにあまり大きな目標を望むことはできません。

 

ではなぜこの「小さな習慣」が多くの人の支持を集めているのか。それは「小さな習慣」に「少しずつ行動量を増やしていくことができる」という発想があるからです。

 

最初はとにかく「腹筋一回」という行動を習慣にする。すると「今日は10回やろう」とか、「他の筋トレもしよう」とか、余裕のある日に「無理のない範囲で」行動量を増やすことができます。

 

ひとたび行動する習慣さえ身につけてさえしまえば、行動量はあとからついてくるという発想。これが「小さな習慣であっても、大きな目標は達成できる」という理屈です。

 

小さな習慣の弱点

 

これに対して本書は、「小さな習慣」の効果を認めつつも、「それだけでは不十分だ」としています。

 

この内容こそが、本書のタイトルが単なる「小さな習慣」ではなく、「やめられなくなる」にとつけられている理由であり、本書の肝になっています。

 

では「小さな習慣」の弱点とは一体なんでしょうか。

 

小さな習慣ですら難しい

著者が話に挙げているのは「小さな習慣ですら続けるのは難しい」ということ。

 

これは「小さな習慣」から始めようとして挫折した経験のある方ならよく分かることだと思います。

 

確かに「毎日腹筋1回」は簡単そうな習慣に見えます。しかしそれを自分の理想の体つきになるまで続けようと考えると、案外簡単ではありません。

 

なぜならば、「ほんのわずかな行動(例えば腹筋一回)ですらも面倒くさい」という日が存在しうるからです。ここが小さな習慣という言葉が「あいまいにしている」点である、と著者は指摘しています。

 

ではこの弱点、「小さな習慣ですら面倒に感じてしまうことがある」はどのように克服すれば良いのでしょうか。

 

「腹筋一回ですら面倒くさい」を克服する方法

ここから話はさらに具体的になっていきます。しかし解決方法やその詳しいメカニズムに関しては、本書を実際に読んでみて頂いた方が、より納得できることかと思います。

 

ここでは僕が読み取った範囲で著者の視点をお伝えしますので、興味のある方はぜひ書店に行かれることをおすすめします。

 

では著者がどのようにして「小さな習慣」の弱点を克服しようとしたかについてです。

 

いくつかの実験や理論、そこから推察されうる解決方法が提示されますが、僕がそれら全体を見た時に感じたのは、著者の「意識しうるようにしむける」という視点です。

 

例えば、「自分の目標を達成するための行動」というものを掘り下げてみます。

 

先ほどの例でいえば、「腹筋をする」が継続したい行動、「マッチョになる」が目標にあたります。

 

しかし目標にたどり着くまでの行動が続かない。それはなぜか。

 

一方で、目標達成に悪影響であるにも関わらず、何度も繰り返してしまう悪い行動もあります。

 

ダイエットで言えば「甘いものを食べてしまう」だとか、受験勉強ならば「夜更かしをしてゲームをしてしまう」を見てしまうなど。

 

これらの行動の原理は単純で「それが快楽に結びついているかどうか」というもの。これは本書でも触れられていますが、習慣化に関する本であれば必ずといっていいほど触れられている視点です。

 

「運動」という行動が快楽と結びついておらず、「甘いもの」が快楽と結びついている。そういう人にとって、「ランニング」は続かなくとも「食後のデザート」は簡単に習慣化します。

 

「目標を達成する」ための行動は得てして「快楽」と時間差で結びついています。

 

ダイエットをして「快楽」を感じる瞬間は「痩せたとき(結果が出た時)」ですし、それは「行動を繰り返した」先にあります。

 

では、「目標を達成するための行動そのもの」はただ苦痛なだけで結局継続することはできないのか。もちろん、この本ではそういったネガティブな結論には達していません。「目標達成のための行動」にも快楽はあり、その部分に「意識的になる」ことが重要であると本書では述べられています。

 

行動が「癖」になる時に起こっていること

ここで本書が挙げる「癖(習慣)になる行動の3ステップ」について言及します。

 

本書では、ラッドを被検体に据えたある有名な行動心理学の実験を引き合いに出し、「行動が癖になる(やみつきになる)流れ」を3つに分けて説明します。

 

その3ステップですが、2ステップ目は「行動」であり、3ステップ目は「快楽」です。つまり「行動したのちに快楽が得られる行動が癖になりやすい」ということ。

 

そしてもう一つポイントになるのが1ステップ目、つまり「行動の前に何が来るか」。

 

本書ではそれを「スイッチ」と呼んでいます。よく受験勉強などで「やる気のスイッチが入らない」などと言ったりしますが、ここでのスイッチとはまさにこのことを指しています。

 

「行動の前にそれを誘発するきっかけになるものがある」ということ。そしてこの「ステップ1:きっかけ」、行動したのちの「ステップ3:快楽」、この二つに挟まれ結びついた行動こそが繰り返され、習慣になっていくというわけです。

 

この3ステップに関して、特に「行動ののちに快楽が得られる」ということの重要さに関しては、習慣化に関するビジネス書にはたびたび取り上げられる内容です。

 

また目標を達成させるための考え方としても非常に浸透している考え方ではないでしょうか。「頑張った後に自分にご褒美を用意する」という行為がまさにこれにあてはまります(行動ののちに快楽を用意する)が、このやり方で何か目標を達成しようと考えたことのある人は少なくないかと思います。

 

しかしこの本ではこの3ステップに関してもさらに踏み込んで思考を進めています。ここでもポイントは先ほど述べた「意識しうるようにしむける」です。

 

またまた筋トレの例になりますが、「毎日、腹筋を一回する」という小さな習慣、この行動にはどのような「スイッチ」があるでしょうか。そして、どのような「快楽」が待っているでしょうか。

 

これを先に考えておくことで、ただの「腹筋一回」ではなく、「スイッチ→行動→快楽」のひとセットとして捉えることができます。

 

ようするに「自分が今何をしているのか?」という意味付けをきちんと行ったうえで行動をする、ということです。これによって、ただの「腹筋一回」であっても、それを「行動を習慣へと強化するための行為」に変えることができます。

 

少し話は変わりますが、中学生や高校生の頃に、「学校の勉強ってなんの意味があるんだろう」と考えたことはありませんか?

 

この発想にはもちろん、「勉強をしない自分を正当化したい」(「勉強したって将来、何かの役に立つわけではない」と理屈づけ、だから自分は勉強をしないのだと正当化する)という狙いもあるかもしれません。しかし一方で「自分が継続したいと考えている行動に対して、意味を見出したい」という気持ちも少なからずあるのではないでしょうか。

 

私たち人間は自分にとってなんの意味も感じられないことを何日も何年も継続することはできません。

 

仏教などで厳しい修行に耐える人は「悟りを得たい(煩悩から解放されたい)」あるいは「大勢の人を救いたい」といった明確な目的意識があるからこそ、その行動(=修行)を継続することができます。プロのスポーツ選手なども同様ですね。

 

自分に意義(価値)があることだからこそ続けられる。この意義とは、言い換えれば自分にとってのメリット、精神的な報酬(=快楽)に当たります。

 

「腹筋一回」という行動自体には何の意味もありません。単純な「行為」だけ見れば、腹部の筋肉を動かすという意味しか持ちえないのです。

 

しかしその行為に「やめられない」ような付加価値をつける、その結果行動は習慣へと変貌を遂げます。そしてその継続した行動によって目標は達成され、さらに満たされた気持ちになり、さらなる行動のサイクルへとつながります。

 

本書では「継続される行動」の前後に存在する「スイッチ」と「快楽」にスポットを当て、単なる「行動」を「やめられない習慣」にする方法を具体的に解き明かしています。

 

そしてこの「行動を自分にとって意味のあるものにする」という側面に一役買っているのが、「はじめに」でも登場した「習慣の連鎖反応」というキーワードなのです。

 

この「習慣の連鎖反応」という内容に関しても本書の核心になっていますので、詳しい解説はそちらに譲ります。

 

基本的なコンセプトとしては「特定の習慣を強化することで、現実を大きく変える」というものです。

 

著者は「早寝早起き」などを中心的な例として挙げ、「ある一つの良い習慣が身につくと、自然に別の習慣もうまくいく、生活全体が良い方へと変化する」ことを解説しています。

 

そしてこの「良い習慣の連鎖」に関して、「ボトルネック(生活全体の足を引っ張っている)の習慣はなにか?」というものをさぐり、徹底的に改善すること。

 

これが本書の大きなテーマの一つとなっています。

 

全体を通して読んでみての感想

ここまでこのブログの記事を読んでくださった方は「なんだか難しそうな内容だな。。。」と感じているかもしれません。

 

しかしそれに関してははっきりと申し上げておきたいです。

 

申し訳ありません!僕の力不足です!!

 

実際に本書を手に取り、パラパラとめくって頂けると感じて頂けるかとはおもうのですが、この本は「かなり読みやすい」部類のビジネス書に入るかと思います。

 

読書に抵抗のない方だと、2時間もあれば十分通読できる分量です。

 

では中身が薄いビジネス書なのか?というと、全くそうではありません。

 

ここまでくどくどと書かせて頂いた通り、最近読んだビジネス書の中でも、個人的にはかなり「何度も読み返したくなる」内容のものでした。

 

実際に一度読まれた方にはぜひ2読目、3読目をおすすめしたいところ。そのうえで「じゃあ自分はこの内容をどのように生活に取り組むのか?」という疑問を持ちつつ考えながら読むと、幾つも発見できることがあると思います。(実際に僕はありました。)

 

今回は少しややこしい感想になってしまいましたが...このあたりで書評を終えたいと思います。

 

最後までこの記事を読んでくださった方、ありがとうございました。