ディスレクシアとは?ネットの誤情報と、難読症傾向が指摘された有名人・偉人について。

ディスレクシアに関する情報を複数の論文・書籍を元にまとめました。

 

※ディスレクシアは未だ解明されていない部分も多く、専門家によっても意見が分かれる内容が多々見られます。また本記事の筆者はディスレクシアに関する専門家ではありません。情報源の確かなものを優先的に扱い、曖昧な情報に関しては「とされている」などの明言を避ける表現をする、あるいは否定情報も併せて記述するなどしました。ただし、本記事の情報はあくまで参考程度に考えて頂けると幸いです。

 

そもそもディスレクシアって?

 ディスレクシアは、充分な教育環境が与えられ、知能、視力、聴力に問題がないのにもかかわらず、読みに特異な困難さを示す状況や、その症状を持つ人のことです。その結果、書くことの困難を伴うことが多くみられます。

(引用元:「ディスレクシアな僕の人生」p202)

 

知能・コミュニケーションなどには困難がみられないにも関わらず、基本的には「読み書き」のみにその症状が現れるという障害です。

(ただし、その他の学習障害・脳機能障害を併せて持っている場合は、知能やコミュニケーションなどにも特異な症状が現れます。)

 

また上の引用文からもわかる通り、「小さい頃、文字の読み書きを十分に教わらなかった」という原因によって、ディスレクシアが起こるわけではありません。

あくまで先天的な(生まれつきの)脳の構造の違いによって起こるものとされています。

一般に「ディスレクシア」というと、「発達性ディスレクシア」のことを指します。

(※「後天性のディスレクシア」と指定された場合、例えば交通事故等によって脳が損傷し読み書きに支障がでるなどの障害を指す。ただし後述の通り、語源的にはalexiaの方が近い意味を持つ。)

ディスレクシアの起源~2人のドイツ医学者による発見~

ディスレクシア(dyslexia)という用語はドイツの眼科医である、「Rudolf Berlin(日本では、ルドルフ・ベルリン又はルドルフ・バーリンなどと呼称される)」によって1887年に作り出されました。

(彼はこのdyslexiaの命名によって知られている人物です。)

 

ただし、それ以前にディスレクシアに関する概念を指摘した人物がいます。それは、同じくドイツの神経科医であるアドルフ・クスマウルです。

 一八七七年、ドイツの神経科医アドルフ・クスマウルは、「知能や視力、話す能力に問題がないのに、文字が読めない」症例に対して「語盲(word blindness)」という言葉をはじめて使った。

 引用元:LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害)p26

引用文の通り、呼び名(word blindness)こそ違えど、ディスレクシアの内容を指摘しています。

 

またアドルフ・クスマウルは多くの医学的知見を残した人物であり、ディスレクシアに関する知見よりも他の多くのことで知られています。

(例えば、生きた人間の胃を始めて観察した人であることや、クスマウル呼吸・クスマウル脈など異常呼吸・脈に関する概念など。)

 

ちなみにディスレクシアが命名された時期の日本では、明治政府の元、秩父事件(1884年:重税に苦しめられる農民の武装蜂起として有名な事件)が起こるなど、荒れた時代でした。

ディスレクシアと関連語句

ディスレクシアは日本では「(発達性)読み書き障害」という表現が一般的です。

 

また似たような語句として以下のようなものが挙げられます。

  • 失読症
  • 難読症
  • 識字障害
  • 読字障害
  • 読み書き障害
  • 発達性読字障害(DRD; Developmental reading disorder)
  • 失語症
  • ディスレキシア

これらは同じものを示しているのでしょうか。はたまた、別の障害・症状を示しているのでしょうか。

 

書籍「LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害)」では以下のように書かれています。

※医学の診断名としては、後天的にその機能がまったく失われる場合には、alexia(失読症)とかaphasia(失語症)などのように、「失」を意味する「a」という接頭語が使われる。

  引用元:LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害)p27

 

上記の引用部分から、医学的な診断名としては「失読症」「失語症」はディスレクシアに該当しない語だということが分かります。理由は、引用文にもある通り、それが「後天的」であり、「機能が全く失われている場合」を指すからです。

(先ほども述べた通り、発達性ディスレクシアは先天性であり、字を認識する機能が全く失われるわけではない。)

 

また日本語の「失う」には「もともとは備わっていたものを、ある時になくしてしまう」というニュアンスが含まれています。

その点から考えても「失」という字は、「もともと備わっていない」という先天性の障害を表すのに的確ではないといえます。(ただし、dyslexiaが「失読症」と日本語訳されることもしばしばある。この場合、厳密には異なる「失読症」と「難読症」という言葉を、区別せずに使用していると考えられる。)

 

失読症→alexia

失語症→aphasia

※失読症は「読む能力」、一方、失語症は「語に関する能力(読む・書くに加えて、話す・聞くなど)」を失っているという違いがあります。

 

続いて、「LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害)」では、以下のような説明がされます。

能力低下や部分的機能障害の場合には、dyslexia(読み障害・読字障害・難読症)、dysgraphia(書き障害・書字障害)、dyscalculia(計算障害)などのように「dys」という接頭語が用いられる。

  引用元:LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害)p27

 

つまり厳密に言うと、dyslexia(ディスレクシア)と対応しているのは「読み障害・読字障害・難読症」。「読み」に関しての障害(「読みの困難さ」であり「読む能力自体を失っている」ではない)を示している語であるということです。

 

「読み障害」・「読字障害」・「難読症」→dyslexia(ディスレクシア)

 

またDRDと呼ばれる場合、それは、「Developmental reading disorder」(発達性読字障害)の略なので、これはディスレクシアと同じ意味(つまり別称)であるといえますね。

 

またディスレクシアに関しても「developmental dyslexia」(発達性のディスレクシア)という英語表現があるのと同じように、後天性ではないという意味合いを強調して「発達性ディスレクシア」という言い方がされるのも一般的です。

 

一方、「書くこと」の困難さのみを取り上げて言う場合には、dysgraphia(ディスグラフィア)という語が対応しています。日本語で言うならば、書字障害(しょじしょうがい)ですね。

 

では「読み」と「書き」を合わせた障害はディスレクシアに当てはまるのでしょうか。

 そもそもディスレクシアは、LDの約八〇%を占めるといわれる代表的なタイプの読み障害であり、入力である読みに困難があると、出力である書きにも困難を生じやすいところから、読み障害ではなく読み書き障害というべきだという研究者もいる。

  引用元:LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害)p27

※LDとは読み・書き以外にも様々な面を含めた学習障害のこと。

 

この引用文からわかる通り、基本的に「読み」が困難であれば、「書き」にも困難を生じやすいとされています。(ただし症状は一人一人によって異なる)

そのため語の意味からすると「読み」のみを示す「dyslexia」ではありますが、日本で「ディスレクシア」という語がつかわれる場合は、「書き」の困難さを含めた「読み書き障害」のことを示している場合が少なくない、というわけです。

 

また「識字」という日本語には文字の「読み」と「書き」の両方の意味が含まれていることから、「識字障害=読み書き障害」と言えます。

 

さらにディスレキシアとは、dyslexiaのことをそのように読む専門家もいるとのことなので、これも実質ディスレクシアと同じ意味の言葉です。

 

「読み書き障害」・「識字障害」・「ディスレキシア」→ディスレクシア

 

※以下は特に断りがない場合、ディスレクシア=「(発達性)読み書き障害」のこととします。

ディスレクシアが苦手とすること

では実際にディスレクシアが苦手とすることはどのような行為なのでしょうか。一人一人によって様々な違いがありますが、発達性ディスレクシアが苦手とする代表的な行為として以下のようなものが挙げられます。

・音読

・黙読(読書)

・漢字・カタカナ・ひらがなの形を思い出して書くこと。(形状の記憶困難)

・写字(文字を見ながら写して書くこと)

 

発達性ディスレクシアは特に「音と文字記号」を結び付けて理解する能力に支障が出ていると指摘されています。

 言い換えると、発達性ディスレクシアの場合、言葉を音に分解し、文字記号と対応させる音韻操作の障害の他に、文字記号の列に沿って目を動かし、文字記号から音を想起する作業(呼称)の速度にも障害があるということである。

  引用元:LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害)p70

そのため、上記のような「音→文字」「文字→音」とする行為を苦手とするわけです。

 

また「黙読」のような外に音を出すわけではない場合においても、頭の中でその文字を読み上げて処理していることは多くの方が身に覚えのあることだと思います。

人間の脳は、「文字を認識すること」や、「文字を単語として捉え、組み合わせ、文意を読み取ること」のために「音」を介した処理を行っています。

 

よって、「文字記号ー音」の処理障害が、「文字」「文章」に関わる総合的な「読み書き」に多様な形で支障がでるわけです。

ディスレクシアにとって、字を「読むこと」と「書くこと」はどちらの方が難しいのか?

日本のディスレクシア研究を牽引する代表的な人物である、宇野彰は自身の監修した書籍の中で、ディスレクシアの症状に関して、以下のように述べています。

宇野「一般的に読むより書くほうが難しいと考えられています。書けるし読めるけど、読むスピードが遅いという人はいます。しかし、書くスピードは測定していません。単に不器用で書くのが遅い人もおり、書字のスピードの計測は難しく、本当に読むほうだけに問題があるかどうかはわからないのです」

引用元:「うちの子は字が書けない」p36(太字ママ)

 

この引用文からわかる通り、発達性ディスレクシアにとって一般的に難しいとされているのは、「書くこと>読むこと」。

「読むのが遅い」という症状のみが顕著にみられる場合もありますが、そのケースにおいても、書く速さを判定する有効な方法が現段階で存在しないため、一概に「読み単体の障害」とは言い切れないのではないか、と言う意見も述べられています。

左利きとディスレクシアの関係

左利きの一般出現率は埼玉県立久喜図書館の文献調査によれば、研究によって非常に大きな差があります。(0.2%~31%程度)

ただし、多くの調査で少数派であるとされており(右利き人数>左利き人数)、また左利きの割合が10%程度であるとする研究結果が多くみられます。

 

原田富士子による「左利きの研究」という論文を参考にすると、左利きの出現割合は3%程度。(対象者:219名)

また同論文内に記述のあるM.Scmeferによる研究によれば、左利きの割合は4.6%だとされています。(対象者:1700人の学童)

 

このように、そもそも一般全体に対する左利きの割合自体に統計結果のバラつきが見られるため、「左利きの場合に、よりディスレクシア傾向が多くみられる」と断定することは難しいと考えられます。

 

宇野彰は左利きとディスレクシアの相関性について、以下の2点を挙げています。

  • 発達性ディスレクシアの左利きの出現割合は、一般の左利きの出現割合よりも高い。
  • ただし、左利きのディスレクシアの方が、右利きのディスレクシアより多いというわけではない。

以下の引用文でそれが示されています。

宇野「一般における左利きの出現率に比べ、発達性ディスレクシアの中での左利きの出現率が多い・・・というだけです。なので、左利きの人のほうが発達性ディスレクシアが多いというわけではありません」

宇野彰監修の書籍「うちの子は字が書けない」p36(太字ママ)

 

一読した際、少しわかりにくいなと感じたのですが、以下のように考えると理解できました。

 

まず「100人の一般人と、100人の発達性ディスレクシアのそれぞれの左利きの割合を調査した」と仮定します。

ここで一般の左利き出現率が10%であったとすると、その人数は10人。

 

宇野彰の説明によれば、発達性ディスレクシア中の左利き出現率は、一般における出現率よりも高くなるので、ここでは2倍の20%であると仮定。すると結果は以下のようになります。

 

一般(典型発達者)の場合

全体:100人

右利き:90人

左利き:10人

 

発達性ディスレクシアの場合

全体:100人

右利き:80人

左利き:20人

 

これが、宇野彰の説明によるところの、

  1. 発達性ディスレクシア中の左利き出現率>一般の左利き出現率
  2. 右利きの発達性ディスレクシアの人数>左利きの発達性ディスレクシアの人数

という意味です。

 

一般(典型発達者)と比較すると、発達性ディスレクシアの中に左利きはより多くみられます。しかし元々左利きは少数派であるため、その割合が2倍になろうと3倍になろうと、少数派であることは変わらない、という論理です。

 

この論理からすると、インターネット上で散見される「ディスレクシアは左利きが多い」という情報は半分当たっており、半分間違っているといえます。

 

一般(典型発達者)の場合よりも、割合としては左利きが多くみられますが、「右利きのディスレクシア」と「左利きのディスレクシア」を比べると、右利きのディスレクシアの方が多くなるからです。

ディスレクシアを公表している、またはその傾向があったとされる著名人・偉人など。

学習障害を抱える人々に対して「知能に特殊な傾向がみられる人は、日常生活に支障をきたす反面、特殊な分野でずば抜けた才能を示す」というイメージを持たれる方は少なからずいらっしゃると思います。

 

発達性ディスレクシアに関しても同様です。

  • 「ディスレクシアは創造性に優れている」
  • 「ディスレクシアには左利きが多い」

という指摘をするネット記事・書籍を多く目にしました。

 

しかし、いくつかの研究結果において示されている通り、発達性ディスレクシアが英語圏に置いて10%、日本においては5~8%ほど存在するならば、その人々がすべて非凡な才能を持っていると考えるのは、やや偏った発想ではないでしょうか。

 

(もしディスレクシアを持っている人がすべて非凡な才能を持っているとするならば、英語圏の人々の10人に1人がギフテッド(天才)という構図になってしまう。またADHD、自閉症などを合わせるとさらにその割合は高くなる)

 

個人的にも、才能があるということは素晴らしいことだと思います。また、一見「学習や生活に困難さをもたらしている」ように思われる特異性が、特定の分野でプラスに転じることは喜ばしいことです。

 

ただ、あまりにも「学習障害=何らかの才能の表れではないか」とするイメージが広まり定着すると、それ自体が新たな「偏見」となり、当事者やその支援者になんらかの負担が生まれるのではないかと、個人的には感じました。

 

またディスレクシアの専門的研究を行っている宇野彰は、発達性ディスレクシアとギフテド(天才)の関係性を否定しています。

宇野「まず、発達性ディスレクシアにギフテド(天才)が多いというのは本当ではありません。」

引用元:「うちの子は字が書けない」p115(太字ママ)

 

何を持って「特別」「才能」と考えるかは人それぞれではあると思うのですが、まだまだ明らかにされていない部分の多い「学習障害(LD)」や「ディスレクシア」については、多数の情報源による情報を元に、慎重に理解を深めていく必要があるのではないかと思います。

 

特に「自分はもしかしたらディスレクシアなのではないか」「自分の子がディスレクシアではないか」と考えられている方は、早い段階で、専門の機関に、できるならば複数先に相談することをおすすめいたします。

 

以下、発達性ディスレクシアである可能性を持つ有名人の方を挙げていますが、あくまで参考程度でお願い致します。

 

※筆者はディスレクシアに関する専門家・当事者ではありません。何かご指摘等ございましたら、お手数ですが問い合わせフォームよりメールを送って頂けると幸いです。

 

発達性ディスレクシアの傾向があったとされる偉人に関する参考文献について:

多くの「ディスレクシア傾向のあった過去の偉人」の情報の言及では、情報源として「LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害)」という書籍のタイトルが挙げられていました。

実際にその書籍を見てみると、第三章は「LD・ディスレクシア偉人伝ー成功の鍵を明かす」と冠され、タイトル通り、過去の偉人のディスレクシア傾向に関する内容に割かれています。

日本LD学会会長である上野一彦によって著されたその一冊には、ディスレクシア傾向がみられた著名な人々を職業別に列記した表があります(本書94~97ページ)。興味のある方はそちらを参照されるのも良いかと思います。

「LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害)」の表では複数の文献においてディスレクシア傾向を指摘する表現があった人を太字で、そうではない人を通常の文字で区分けしてあります。また実際の人物ごとのエピソードなども表ののちに書かれてありました。

日本の人物

柳家花緑(落語家)

戦後最年少22歳で真打(落語家として最も位の高い身分)に昇格した経歴を持つ落語家。祖父は落語家で史上初の人間国宝に認定された、5代目柳家小さん。

自身の学習障害(発達性ディスレクシア)は、自著「花緑の幸せ入門 「笑う門には福来たる」のか?~スピリチュアル風味~」で明かした。 

 

濱口瑛士(画家)

日本財団と東京大学先端科学技術研究センターの共同プロジェクト「異才発掘プロジェクト ROCKET(Room Of Children with Kokorozashi and Extraordinary Talents)」によって見出された、少年画家。

発達性ディスレクシアと自閉症スペクトラム障害を持っていると公表している。メディアに取り上げられるなど日本において注目度の高い人物。

 

ミッツ・マングローブ(日本のマルチタレント)

週刊女性1月26日号にて学習障害の告白をしたとして話題になった。

 

村上春樹

代表作IQ84の主要登場人物の中に重度の発達性ディスレクシアを抱えた人物が出てくる。

自身も何らかの学習障害を持っていたかもしれない、とファンの交流サイト(現在は閉鎖、内容は書籍化された。「村上さんのところ」)で語る。

 

岡本太郎(芸術家)

代表作「太陽の塔」や、「芸術は爆発だ」という名言で知られる日本の芸術家。様々な学習障害の可能性が指摘されている。

 

黒柳徹子(女優・マルチタレント)

書籍「小さいときから考えてきたこと」「窓際のトットちゃん」などで自身の幼少期における、障害傾向について明かしている。

 

藤堂高直(とうどう・たかなお)

日本の建築家。自身のディスレクシアに関して「DX型 ディスレクシアな僕の人生」で語っている。

他国の国王・王子

現スウェーデン国王(カール16世グスタフ(Carl Gustaf Folke Hubertus))

御年72、現役の国王。

 

スウェーデンと言えば個人主義的な風潮がある国と言われる一方、教育先進国であるという認識も広くある。

日本の学校に比べると例えば「年間の登校日数が少ない」「長期休暇の宿題が存在しない」などの特徴を持ちながら、「生徒一人に対する教師の数が多い」「基本的に学費は無料(小学校~大学まで)」などの手厚い学習環境があると言われている。

 

最近では移民の受け入れの関係で学力の低下が指摘されているが、元々高福祉国家であり教育に力を入れている国。発達性ディスレクシアに対する教育支援も日本より進んでいるという見方ができそうだ。

 

カール16世グスタフの近親者ではその娘ヴィクトリア王太子と、その息子カールフィリップ王子もディスレクシアを抱えていることを王妃が告白している。

 

王妃自身はディスレクシアではないが、夫が発達性ディスレクシアであることから同障害を持つ方への支援を行う他、認知症を患う方への支援、児童ポルノに強く反対する活動家であるなど、篤志家として知られている。

ベルギー第二王子エマニュエル(エマニュエル・ド・ベルジック)

エマニュエル王子がディスレクシアを持っていることは、現ベルギー国王夫妻によって公表されている。

またベルギーでは「ディスレクシア」という言葉の意味が一般的に広く知られており、日本との差は明らかだそうだ。

 テレビ東京の人気テレビ番組「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~」の2017年7月24日の放送では、ベルギーで発達性ディスレクシアの子を抱える女性の子育ての様子が放送された。

 

ベルギーで最も話されている公用語はオランダ語。(その他、フランス語・ドイツ語などが公用語)

オランダ語は英語と似ている言語であると言われることもあり、そこから考えるとディスレクシアを持つ人の発現も英語と同様10%程度ではないだろうか。

芸術家他

パブロ・ピカソ

フランスを中心に活躍した芸術家。生まれはスペイン。「キュビスム」と呼ばれる、現代の前衛的な絵画手法を創始したことで知られる。「ゲルニカ」他、代表作多数。

幼い頃、読み書きが不得意だったとされている。

 

オーギュスト・ロダン

「近代彫刻の父」と呼ばれる、フランスの彫刻家。ロダンの代表作「考える人」はあまりに有名。文字の読み書きを不得意だったと言われている。

 

アンディ・ウォーホール

アメリカの芸術家。大量生産・消費社会を反映した現代芸術・ポップアートの分野での活躍が知られる人物。

 

レオナルド・ダ・ヴィンチ(芸術家)

代表作は「モナ・リザ」「最後の晩餐」他多数。様々な分野に精通する天才として知られる。

レオナルド・ダ・ヴィンチがディスレクシアであるとする根拠は、彼の手書きのノートが鏡文字で書かれていたことに由来する。

(ただし、左利きであることが原因で鏡文字を書いてしまう、人に読ませないためにあえて鏡文字を使用したのでは、とも言われている。また、そもそも鏡文字自体が、ディスレクシアによって起こる症状ではないとも言われている。)

 

サルバトール・ダリ(画家)

代表作は「記憶の固執」他。トレードマークのツンと伸びた口ひげ、目を見開いた滑稽な表情、数々の奇行エピソードなど、彼の話題には事欠かない。

ディスレクシアというよりは自伝や彼の奇行から、ADHDや自己愛性パーソナリティ障害など様々な障害の可能性を指摘されている。

 

アントニオ・ガウディ(建築家)

スペインのバルセロナを中心に活躍した建築家。代表作はサグラダファミリア。

 

トム・クルーズ(俳優)

日本でも知名度の高い映画俳優。彼が自身のディスレクシアを告白したことによって、ディスレクシアが一般に広く認知されるようになったともいわれている。

 

オーランド・ブルーム(俳優)

自身がディスレクシアであることを様々なインタビュー・講演などで明かしている。

  • 2010年ロックフェラー大学の公演(The Annual Adam Jeffery Katz Memorial Lecture Series)
  • 2014年2月24日Newsゼロの映画「ホビット 竜に奪われた王国」に関する出演インタビューで自身が7歳の時にディスレクシアであると診断されたことについて言及したとされる。

スティーブン・スピルバーグ(映画監督)

「未知との遭遇」「ジョーズ」「E.T.」など代表作多数。日本でも巨匠として知られる、アメリカの映画監督。

 

ディスレクシアに関しては、2012年9月12日、「Friends of Quinn(フレンズ・オブ・クイン)」(学習障害支援サイト)の独占インタビュー等で明かしたとされる。

 

キーラ・ナイトレイ(女優)

パイレーツ・オブ・カリビアンで、ヒロイン役:エリザベス・スワンを演じた、イギリスの女優。

ディスレクシアに関しては、雑誌「GQ」のインタビューで明かしたとされる。

 

キヌア・リーブス(俳優・ミュージシャン)

レバノン共和国生まれの多国籍俳優。「マトリックス」の主演俳優として知られ、その他数多くの映画に出演している。

ディスレクシアに関しては、自身の学生時代について、語ったThe New Breed: Actors Coming of Age内でのインタビュー(1988)他、様々なインタビューで言及しているとされている。

 

ウーピー・ゴールドバーグ(女優・歌手)

「天使にラブ・ソングを...」他、多くの映画・ドラマに出演。アカデミー賞他、多数の受賞歴を持つ。ディスレクシアに関して多くのインタビューで言及しているとされる。

 

フィリップ・シュルツ(詩人)

2008年、ピューリッツァー賞(詩部門)受賞。代表作は同賞受賞の「Failure」の他、「Like Wings」など。自身の難読症を告白した「My Dyslexia」(邦題は「私のディスレクシア」)も代表作の一つ。

 

「私のディスレクシア」は自身の息子がディスレクシアであることが判明した検査において、自身のディスレクシアにも気づき(当時、フィリップ・シュルツは58歳だった)、そこから自身の障害について考えた内容だ。

 

【箇条書き】ディスレクシア傾向・学習障害傾向があったとされる人物

芸術家他

  • フランク・ロイド・ライト(建築家)
  • ミース・フォン・デル・ローエ(建築家)
  • モーツァルト(音楽家)
  • ベートーヴェン(音楽家)
  • ミケランジェロ・ブオナローティ(彫刻家・詩人)
  • ウィリアム・バトラー・イェイツ(劇作家・詩人)
  • クェンティン・タランティーノ(映画監督・脚本家)
  • スティーブン・キャネル(プロデューサー・脚本家)
  • ハンス・クリスチャン・アンデルセン(童話作家・詩人)
  • チャールズ・シュルツ(漫画家、スヌーピーの作者)
  • ジョン・アーヴィング(小説家)
  • アガサ・クリスティー(作家)
  • ジョン・レノン(ミュージシャン)
  • ノエル・ギャラガー(ミュージシャン)
  • リッチ・シルバースタイン(クリエイティブ・ディレクター)
  • パトリシア・ポラッコ(絵本作家) 

俳優・女優他

  • アンソニー ・ ホプキンス(俳優・作曲家・画家)
  • ウィル・スミス(俳優)
  • ジェニファー・アニンストン(女優)
  • シェール(女優・歌手)
  • ジム・キャリー(俳優)
  • シルベスタースタローン(俳優・映画監督)
  • ジョージ・バーンズ(俳優・コメディアン)
  • ダスティン ・ ホフマン(俳優)
  • スティーブ・マックィーン(俳優)
  • ハリソン ・ フォード(俳優)
  • ロビン・ウィリアムス(俳優)
  • フレッド ・ アステア(俳優・歌手)
  • マーロン・ブランド(俳優)
  • リブ・タイラー(女優)
  • ハリー・べラフォンテ(歌手・俳優)
  • リンゼー・ワグナー(女優)
  • ジェイ・レノ(司会者)
  • ジェイミー・オリバー(シェフ)

政治家・軍人・実業家他

  • ジョン・F・ケネディ(政治家)
  • ウィンストン・チャーチル(政治家・軍人)
  • ウィリアム・ヒューレット(起業家)
  • ルパート・ギネス (実業家・政治家)
  • ウッドロー・ウィルソン(政治家)
  • ウォルト・ディズニー(アニメーター・実業家)
  • ジョージ・パットン(軍人)
  • ジョージ・ワシントン(政治家)
  • チャールズ・シュワブ(金融)
  • ネルソン・ロックフェラー(政治家)
  • ビルゲイツ(実業家)
  • リチャード・プランソン(実業家)
  • ヘンリー・フォード(企業家)

学者・発明家

  • アンリ・ポアンカレ(数学者・物理学者)
  • グラハム・ベル(科学者・発明家)
  • ジャック・ホーナー(古生物学者)
  • アルベルト・アイン・シュタイン(科学者)
  • ジェームス・マックスウェル(物理学者)
  • ルイス・キャロル(数学者・作家)
  • トーマス・エジソン(発明家)
  • ニコラ・テスラ(発明家)
  • ニールス・ボーア(物理学者)
  • マイケル・ファラデー(物理学者)

スポーツ選手(水泳選手・レーサー・ボクサー他)

  • グレッグ・ルガニス(水泳選手)
  • ジャッキ―・スチュワート(レーサー)
  • ルイス・ハミルトン(レーサー)
  • モハメド・アリ(ボクサー)
  • ブルース・ジェナー(陸上選手)
  • チャールス・リンドバーク(パイロット)

ディスレクシアに関する活動を行っている人物

南雲明彦(講演家)

自身がディスレクシアであった経験から、様々な公演等を通し、ディスレクシアに関する社会認知活動を行っている人物。「僕は、字が読めない。」他、ディスレクシアに関する書籍をいくつか著している。

 

クリスチャン・ボアー(デザイナー)

自身がディスレクシアを抱えた経験から、同じような読み書き障害を持つ人でも認識しやすいフォントを作るなどの活動を行っている。

 

マッケンジー・ソープ(画家)

イギリス出身、現在も存命の画家。ディスレクシアを持つことを本人が公表している。

フィクションの中のディスレクシア

最後に物語の中に登場した、ディスレクシアの人物についてまとめておきます。登場人物自体は現実の世界に実在しません。

 

しかし、そもそもディスレクシアという症状自体があまり知られていないため、その登場人物が作者本人の経験を元にして描かれた人物であるなど、その症状に関する描写は実際の人物に近いものがあります。

 

もちろんフィクションですので正確な情報源としては受け取れませんが、参考になる部分も少なくないかもしれません。

 

「青少年のための小説入門」

二人の少年が小説家になることを目指すというストーリーです。主要登場人物の「登」は、子供の頃から読み書きができない(=発達性ディスレクシア)という設定を持っています。

ちなみにこの小説の表紙は、同じく少年二人が漫画家を目指すというストーリーで人気を博した「バクマン。」の作者である、小畑健によって描かれています。

 

「ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち」

「古い本の謎を解き明かす」という変わり種のミステリーとして話題になったシリーズ作品です。主人公でありこの物語の語り役でもある「五浦大輔」は文字が読めないという「活字恐怖症」。

正確には発達性ディスレクシアではなく個人のトラウマが原因となってひきおこされている症状であるという設定ですが、「活字」に対する苦手意識から、読書に対するコンプレックスを抱くなどの描写は、ディスレクシアによる二次的弊害を連想させるところがあります。

「IQ84」

村上春樹によって書かれた代表的な長編作品です。

 

この物語は二人の人物によるストーリーが同時に進行していくという体裁なのですが、その中の一人の主人公・天吾が出会う不思議な少女「ふかえり」が重度の発達性ディスレクシアを背負っています。(本文中にもディスレクシアではないかという指摘tq天吾からされます。)

 

「ありがとう、フォルカー先生」

発達性ディスレクシアである、パトリシア・ポラッコという絵本作家によって描かれた、彼女の自伝的絵本です。主人公のトリシャは読み書きに障害を抱えており、勉強に大きなハンデを背負っています。そのトリシャと、フォルカーという教師との出会いを描いた一冊です。

発達性ディスレクシアを学ぶための書籍(本記事執筆の参考文献他)

最後に、今回の記事を作成するにあたり参考にさせて頂いた書籍を紹介します。

 

 

以上です。最後まで読んで下さってありがとうございました。